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賃料と相続の不動産鑑定事務所 | 不動産鑑定評価基準2

第2節 地域要因 |賃料と相続の不動産鑑定士

地域要因とは、一般的要因の相関結合によって規模、構成の内容、機能等にわたる各地域の特性を形成し、その地域に属する不動産の価格の形成に全般的な影響を与える要因をいう。
T 宅地地域
1.住宅地域

 

住宅地域の地域要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
(1) 日照、温度、湿度、風向等の気象の状態
(2) 街路の幅員、構造等の状態
(3) 都心との距離及び交通施設の状態
(4) 商業施設の配置の状態
(5) 上下水道、ガス等の供給・処理施設の状態
(6) 情報通信基盤の整備の状態
(7) 公共施設、公益的施設等の配置の状態
(8) 汚水処理場等の嫌悪施設等の有無
(9) 洪水、地すべり等の災害の発生の危険性
(10) 騒音、大気の汚染、土壌汚染等の公害の発生の程度
(11) 各画地の面積、配置及び利用の状態
(12) 住宅、生垣、街路修景等の街並みの状態
(13) 眺望、景観等の自然的環境の良否
(14) 土地利用に関する計画及び規制の状態

 

 

2.商業地域

 

前記1.に掲げる地域要因のほか、商業地域特有の地域要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
(1) 商業施設又は業務施設の種類、規模、集積度等の状態
(2) 商業背後地及び顧客の質と量
(3) 顧客及び従業員の交通手段の状態
(4) 商品の搬入及び搬出の利便性
(5) 街路の回遊性、アーケード等の状態
(6) 営業の種別及び競争の状態
(7) 当該地域の経営者の創意と資力
(8) 繁華性の程度及び盛衰の動向
(9) 駐車施設の整備の状態
(10) 行政上の助成及び規制の程度

 

 

3.工業地域

 

前記1.に掲げる地域要因のほか、工業地域特有の地域要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
(1) 幹線道路、鉄道、港湾、空港等の輸送施設の整備の状況
(2) 労働力確保の難易
(3) 製品販売市場及び原材料仕入市場との位置関係
(4) 動力資源及び用排水に関する費用
(5) 関連産業との位置関係
(6) 水質の汚濁、大気の汚染等の公害の発生の危険性
(7) 行政上の助成及び規制の程度

 

 

U 農地地域

 

農地地域の地域要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
1. 日照、温度、湿度、風雨等の気象の状態
2. 起伏、高低等の地勢の状態
3. 土壌及び土層の状態
4. 水利及び水質の状態
5. 洪水、地すべり等の災害の発生の危険性
6. 道路等の整備の状態
7. 集落との位置関係
8. 集荷地又は産地市場との位置関係
9. 消費地との距離及び輸送施設の状態
10. 行政上の助成及び規制の程度

 

V 林地地域

 

林地地域の地域要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
1. 日照、温度、湿度、風雨等の気象の状態
2. 標高、地勢等の状態
3. 土壌及び土層の状態
4. 林道等の整備の状態
5. 労働力確保の難易
6. 行政上の助成及び規制の程度

 

 

なお、ある種別の地域から他の種別の地域へと転換し、又は移行しつつある地域については、転換し、又は移行すると見込まれる転換後又は移行後の種別の地域の地域要因をより重視すべきであるが、転換又は移行の程度の低い場合においては、転換前又は移行前の種別の地域の地域要因をより重視すべきである。

 

第3節 個別的要因 |賃料と相続の不動産鑑定士

 

個別的要因とは、不動産に個別性を生じさせ、その価格を個別的に形成する要因をいう。個別的要因は、土地、建物等の区分に応じて次のように分けられる。

 

T 土地に関する個別的要因
1.宅地 (1) 住宅地
住宅地の個別的要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
1) 地勢、地質、地盤等
2) 日照、通風及び乾湿
3) 間口、奥行、地積、形状等
4) 高低、角地その他の接面街路との関係
5) 接面街路の幅員、構造等の状態
6) 接面街路の系統及び連続性
7) 交通施設との距離
8) 商業施設との接近の程度
9) 公共施設、公益的施設等との接近の程度
10) 汚水処理場等の嫌悪施設等との接近の程度
11) 隣接不動産等周囲の状態
12) 上下水道、ガス等の供給・処理施設の有無及びその利用の難易
13) 情報通信基盤の利用の難易

14) 埋蔵文化財及び地下埋設物の有無並びにその状態
15) 土壌汚染の有無及びその状態
16) 公法上及び私法上の規制、制約等

 

(2) 商業地

 

商業地の個別的要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
1) 地勢、地質、地盤等
2) 間口、奥行、地積、形状等
3) 高低、角地その他の接面街路との関係
4) 接面街路の幅員、構造等の状態
5) 接面街路の系統及び連続性
6) 商業地域の中心への接近性
7) 主要交通機関との接近性
8) 顧客の流動の状態との適合性
9) 隣接不動産等周囲の状態
10) 上下水道、ガス等の供給・処理施設の有無及びその利用の難易
11) 情報通信基盤の利用の難易
12) 埋蔵文化財及び地下埋設物の有無並びにその状態
13) 土壌汚染の有無及びその状態
14) 公法上及び私法上の規制、制約等

 

(3) 工業地
工業地の個別的要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
1) 地勢、地質、地盤等
2) 間口、奥行、地積、形状等
3) 高低、角地その他の接面街路との関係
4) 接面街路の幅員、構造等の状態
5) 接面街路の系統及び連続性
6) 従業員の通勤等のための主要交通機関との接近性
7) 幹線道路、鉄道、港湾、空港等の輸送施設との位置関係
8) 電力等の動力資源の状態及び引込の難易
9) 用排水等の供給・処理施設の整備の必要性
10) 上下水道、ガス等の供給・処理施設の有無及びその利用の難易
11) 情報通信基盤の利用の難易
12) 埋蔵文化財及び地下埋設物の有無並びにその状態
13) 土壌汚染の有無及びその状態
14) 公法上及び私法上の規制、制約等

 

 

2.農地

 

農地の個別的要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
(1) 日照、乾湿、雨量等の状態
(2) 土壌及び土層の状態
(3) 農道の状態
(4) 灌漑排水の状態
(5) 耕うんの難易
(6) 集落との接近の程度
(7) 集荷地との接近の程度
(8) 災害の危険性の程度
(9) 公法上及び私法上の規制、制約等

 

3.林地

 

林地の個別的要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
(1) 日照、乾湿、雨量等の状態
(2) 標高、地勢等の状態
(3) 土壌及び土層の状態
(4) 木材の搬出、運搬等の難易
(5) 管理の難易
(6) 公法上及び私法上の規制、制約等

 

4.見込地及び移行地

 

見込地及び移行地については、転換し、又は移行すると見込まれる転換後又は移行後の種別の地域内の土地の個別的要因をより重視すべきであるが、転換又は移行の程度の低い場合においては、転換前又は移行前の種別の地域内の土地の個別的要因をより重視すべきである。

 

 

U 建物に関する個別的要因

 

建物に関する個別的要因の主なものを例示すれば、次のとおりである。
1. 建築(新築、増改築又は移転) の年次
2. 面積、高さ、構造、材質等
3. 設計、設備等の機能性
4. 施工の質と量
5. 耐震性、耐火性等建物の性能
6. 維持管理の状態
7. 有害な物質の使用の有無及びその状態
8. 建物とその環境との適合の状態
9. 公法上及び私法上の規制、制約等

 

V 建物及びその敷地に関する個別的要因

 

前記T及びUに例示したもののほか、建物及びその敷地に関する個別的要因の主なものを例示すれば、敷地内における建物、駐車場、通路、庭等の配置、建物と敷地の規模の対応関係等建物等と敷地との適応の状態がある。
さらに、賃貸用不動産に関する個別的要因には、賃貸経営管理の良否があり、その主なものを例示すれば、次のとおりである。
1. 借主の状況及び賃貸借契約の内容
2. 貸室の稼働状況
3. 修繕計画及び管理計画の良否並びにその実施の状態

 

第4章 不動産の価格に関する諸原則|賃料と相続の不動産鑑定士

不動産の価格は、不動産の効用及び相対的稀少性並びに不動産に対する有効需要に影響を与える諸要因の相互作用によって形成されるが、その形成の過程を考察するとき、そこに基本的な法則性を認めることができる。不動産の鑑定評価は、その不動産の価格の形成過程を追究し、分析することを本質とするものであるから、不動産の経済価値に関する適切な最終判断に到達するためには、鑑定評価に必要な指針としてこれらの法則性を認識し、かつ、これらを具体的に現した以下の諸原則を活用すべきである。
これらの原則は、一般の経済法則に基礎を置くものであるが、鑑定評価の立場からこれを認識し、表現したものである。
なお、これらの原則は、孤立しているものではなく、直接的又は間接的に相互に関連しているものであることに留意しなければならない。

 

T 需要と供給の原則

 

一般に財の価格は、その財の需要と供給との相互関係によって定まるとともに、その価格は、また、その財の需要と供給とに影響を及ぼす。
不動産の価格もまたその需要と供給との相互関係によって定まるのであるが、不動産は他の財と異なる自然的特性及び人文的特性を有するために、その需要と供給及び価格の形成には、これらの特性の反映が認められる。

 

U 変動の原則

 

一般に財の価格は、その価格を形成する要因の変化に伴って変動する。
不動産の価格も多数の価格形成要因の相互因果関係の組合せの流れである変動の過程において形成されるものである。したがって、不動産の鑑定評価に当たっては、価格形成要因が常に変動の過程にあることを認識して、各要因間の相互因果関係を動的に把握すべきである。特に、不動産の最有効使用(W参照)を判定するためには、この変動の過程を分析することが必要である。

 

V 代替の原則

 

代替性を有する二以上の財が存在する場合には、これらの財の価格は、相互に影響を及ぼして定まる。
不動産の価格も代替可能な他の不動産又は財の価格と相互に関連して形成される。

 

W 最有効使用の原則

 

不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用(以下「最有効使用」という。)を前提として把握される価格を標準として形成される。この場合の最有効使用は、現実の社会経済情勢の下で客観的にみて、良識と通常の使用能力を持つ人による合理的かつ合法的な最高最善の使用方法に基づくものである。
なお、ある不動産についての現実の使用方法は、必ずしも最有効使用に基づいているものではなく、不合理な又は個人的な事情による使用方法のために、当該不動産が十分な効用を発揮していない場合があることに留意すべきである。

 

X 均衡の原則

 

不動産の収益性又は快適性が最高度に発揮されるためには、その構成要素の組合せが均衡を得ていることが必要である。したがって、不動産の最有効使用を判定するためには、この均衡を得ているかどうかを分析することが必要である。

 

Y 収益逓増及び逓減の原則

 

ある単位投資額を継続的に増加させると、これに伴って総収益は増加する。しかし、増加させる単位投資額に対応する収益は、ある点までは増加するが、その後は減少する。
この原則は、不動産に対する追加投資の場合についても同様である。

 

Z 収益配分の原則

 

土地、資本、労働及び経営(組織)の各要素の結合によって生ずる総収益は、これらの各要素に配分される。したがって、このような総収益のうち、資本、労働及び経営(組織)に配分される部分以外の部分は、それぞれの配分が正しく行われる限り、土地に帰属するものである。

 

[ 寄与の原則

 

不動産のある部分がその不動産全体の収益獲得に寄与する度合いは、その不動産全体の価格に影響を及ぼす。
この原則は、不動産の最有効使用の判定に当たっての不動産の追加投資の適否の判定等に有用である。

 

\ 適合の原則

 

不動産の収益性又は快適性が最高度に発揮されるためには、当該不動産がその環境に適合していることが必要である。したがって、不動産の最有効使用を判定するためには、当該不動産が環境に適合しているかどうかを分析することが必要である。

 

] 競争の原則

 

一般に、超過利潤は競争を惹起し、競争は超過利潤を減少させ、終局的にはこれを消滅させる傾向を持つ。不動産についても、その利用による超過利潤を求めて、不動産相互間及び他の財との間において競争関係が認められ、したがって、不動産の価格は、このような競争の過程において形成される。

 

]T 予測の原則

 

財の価格は、その財の将来の収益性等についての予測を反映して定まる。
不動産の価格も、価格形成要因の変動についての市場参加者による予測によって左右される。

 

第5章 鑑定評価の基本的事項 | 東京・日本橋の不動産鑑定士

 

不動産の鑑定評価に当たっては、基本的事項として、対象不動産、価格時点及び価格又は賃料の種類を確定しなければならない。

 

第1節 対象不動産の確定|東京・日本橋の不動産鑑定士

不動産の鑑定評価を行うに当たっては、まず、鑑定評価の対象となる土地又は建物等を物的に確定することのみならず、鑑定評価の対象となる所有権及び所有権以外の権利を確定する必要がある。
対象不動産の確定は、鑑定評価の対象を明確に他の不動産と区別し、特定することであり、それは不動産鑑定士が鑑定評価の依頼目的及び条件に照応する対象不動産と当該不動産の現実の利用状況とを照合して確認するという実践行為を経て最終的に確定されるべきものである。

 

T 対象確定条件

 

対象不動産の確定に当たって必要となる鑑定評価の条件を対象確定条件という。
対象確定条件は、対象不動産(依頼内容に応じて次のような条件により定められた不動産をいう。)の所在、範囲等の物的事項及び所有権、賃借権等の対象不動産の権利の態様に関する事項を確定するために必要な条件である。
1. 不動産が土地のみの場合又は土地及び建物等の結合により構成されている場合において、その状態を所与として鑑定評価の対象とすること。
2. 不動産が土地及び建物等の結合により構成されている場合において、その土地のみを建物等が存しない独立のもの(更地)として鑑定評価の対象とすること(この場合の鑑定評価を独立鑑定評価という。)。
3. 不動産が土地及び建物等の結合により構成されている場合において、その状態を所与として、その不動産の構成部分を鑑定評価の対象とすること(この場合の鑑定評価を部分鑑定評価という。)。
4. 不動産の併合又は分割を前提として、併合後又は分割後の不動産を単独のものとして鑑定評価の対象とすること(この場合の鑑定評価を併合鑑定評価又は分割鑑定評価という。)。

 

U 地域要因又は個別的要因についての想定上の条件

 

対象確定条件により確定された対象不動産について、依頼目的に応じ対象不動産に係る価格形成要因のうち地域要因又は個別的要因について想定上の条件を付加する場合があるが、この場合には、依頼により付加する想定上の条件が実現性、合法性、関係当事者及び第三者の利益を害するおそれがないか等の観点から妥当なものでなければならない。
一般に、地域要因について想定上の条件を付加することが妥当と認められる場合は、計画及び諸規制の変更、改廃に権能を持つ公的機関の設定する事項に主として限られる。

 

第2節 価格時点の確定| 賃料と相続の不動産鑑定士

価格形成要因は、時の経過により変動するものであるから、不動産の価格はその判定の基準となった日においてのみ妥当するものである。したがって、不動産の鑑定評価を行うに当たっては、不動産の価格の判定の基準日を確定する必要があり、この日を価格時点という。また、賃料の価格時点は、賃料の算定の期間の収益性を反映するものとしてその期間の期首となる。
価格時点は、鑑定評価を行った年月日を基準として現在の場合(現在時点)、過去の場合(過去時点)及び将来の場合(将来時点)に分けられる。

 

第3節 鑑定評価によって求める価格又は賃料の種類の確定

不動産鑑定士による不動産の鑑定評価は、不動産の適正な価格を求め、その適正な価格の形成に資するものでなければならない。

 

T 価格

 

不動産の鑑定評価によって求める価格は、基本的には正常価格であるが、鑑定評価の依頼目的及び条件に応じて限定価格、特定価格又は特殊価格を求める場合があるので、依頼目的及び条件に即して価格の種類を適切に判断し、明確にすべきである。なお、評価目的に応じ、特定価格として求めなければならない場合があることに留意しなければならない。
1.正常価格

 

正常価格とは、市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう。この場合において、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場とは、以下の条件を満たす市場をいう。
(1)市場参加者が自由意思に基づいて市場に参加し、参入、退出が自由であること。
なお、ここでいう市場参加者は、自己の利益を最大化するため次のような要件を満たすとともに、慎重かつ賢明に予測し、行動するものとする。
1) 売り急ぎ、買い進み等をもたらす特別な動機のないこと。
2) 対象不動産及び対象不動産が属する市場について取引を成立させるために必要となる通常の知識や情報を得ていること。
3) 取引を成立させるために通常必要と認められる労力、費用を費やしていること。
4) 対象不動産の最有効使用を前提とした価値判断を行うこと。
5) 買主が通常の資金調達能力を有していること。

 

(2)取引形態が、市場参加者が制約されたり、売り急ぎ、買い進み等を誘引したりするような特別なものではないこと。
(3)対象不動産が相当の期間市場に公開されていること。

 

2.限定価格

 

限定価格とは、市場性を有する不動産について、不動産と取得する他の不動産との併合又は不動産の一部を取得する際の分割等に基づき正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することにより、市場が相対的に限定される場合における取得部分の当該市場限定に基づく市場価値を適正に表示する価格をいう。
限定価格を求める場合を例示すれば、次のとおりである。
(1)借地権者が底地の併合を目的とする売買に関連する場合
(2)隣接不動産の併合を目的とする売買に関連する場合
(3)経済合理性に反する不動産の分割を前提とする売買に関連する場合

 

3.特定価格

 

特定価格とは、市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさない場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。
特定価格を求める場合を例示すれば、次のとおりである。
(1)資産の流動化に関する法律又は投資信託及び投資法人に関する法律に基づく評価目的の下で、投資家に示すための投資採算価値を表す価格を求める場合
(2)民事再生法に基づく評価目的の下で、早期売却を前提とした価格を求める場合
(3)会社更生法又は民事再生法に基づく評価目的の下で、事業の継続を前提とした価格を求める場合

 

4.特殊価格

 

特殊価格とは、文化財等の一般的に市場性を有しない不動産について、その利用現況等を前提とした不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。
特殊価格を求める場合を例示すれば、文化財の指定を受けた建造物、宗教建築物又は現況による管理を継続する公共公益施設の用に供されている不動産について、その保存等に主眼をおいた鑑定評価を行う場合である。

 

 

U 賃料

 

不動産の鑑定評価によって求める賃料は、一般的には正常賃料又は継続賃料であるが、鑑定評価の依頼目的及び条件に応じて限定賃料を求めることができる場合があるので、依頼目的及び条件に即してこれを適切に判断し、明確にすべきである。
1.正常賃料

 

正常賃料とは、正常価格と同一の市場概念の下において新たな賃貸借等(賃借権若しくは地上権又は地役権に基づき、不動産を使用し、又は収益することをいう。)の契約において成立するであろう経済価値を表示する適正な賃料(新規賃料)をいう。

 

2.限定賃料

 

限定賃料とは、限定価格と同一の市場概念の下において新たな賃貸借等の契約において成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料(新規賃料)をいう。
限定賃料を求めることができる場合を例示すれば、次のとおりである。
(1)隣接不動産の併合使用を前提とする賃貸借等に関連する場合
(2)経済合理性に反する不動産の分割使用を前提とする賃貸借等に関連する場合

 

3.継続賃料

 

継続賃料とは、不動産の賃貸借等の継続に係る特定の当事者間において成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料をいう。

 

第6章 地域分析及び個別分析| 賃料と相続の不動産鑑定士

対象不動産の地域分析及び個別分析を行うに当たっては、まず、それらの基礎となる一般的要因がどのような具体的な影響力を持っているかを的確に把握しておくことが必要である。

 

第1節 地域分析 | 賃料と相続の不動産鑑定士

T 地域分析の意義

 

地域分析とは、その対象不動産がどのような地域に存するか、その地域はどのような特性を有するか、また、対象不動産に係る市場はどのような特性を有するか、及びそれらの特性はその地域内の不動産の利用形態と価格形成について全般的にどのような影響力を持っているかを分析し、判定することをいう。

 

U 地域分析の適用
1. 地域及びその特性
地域分析に当たって特に重要な地域は、用途的観点から区分される地域( 以下「用途的地域」という。)、すなわち近隣地域及びその類似地域と、近隣地域及びこれと相関関係にある類似地域を含むより広域的な地域、すなわち同一需給圏である。
また、近隣地域の特性は、通常、その地域に属する不動産の一般的な標準的使用に具体的に現れるが、この標準的使用は、利用形態からみた地域相互間の相対的位置関係及び価格形成を明らかにする手掛りとなるとともに、その地域に属する不動産のそれぞれについての最有効使用を判定する有力な標準となるものである。
なお、不動産の属する地域は固定的なものではなく、地域の特性を形成する地域要因も常に変動するものであることから、地域分析に当たっては、対象不動産に係る市場の特性の把握の結果を踏まえて地域要因及び標準的使用の現状と将来の動向とをあわせて分析し、標準的使用を判定しなければならない。
(1)用途的地域 1) 近隣地域

 

近隣地域とは、対象不動産の属する用途的地域であって、より大きな規模と内容とを持つ地域である都市あるいは農村等の内部にあって、居住、商業活動、工業生産活動等人の生活と活動とに関して、ある特定の用途に供されることを中心として地域的にまとまりを示している地域をいい、対象不動産の価格の形成に関して直接に影響を与えるような特性を持つものである。
近隣地域は、その地域の特性を形成する地域要因の推移、動向の如何によって、変化していくものである。

 

2) 類似地域

 

類似地域とは、近隣地域の地域の特性と類似する特性を有する地域であり、その地域に属する不動産は、特定の用途に供されることを中心として地域的にまとまりを持つものである。この地域のまとまりは、近隣地域の特性との類似性を前提として判定されるものである。

 

 

(2)同一需給圏
同一需給圏とは、一般に対象不動産と代替関係が成立して、その価格の形成について相互に影響を及ぼすような関係にある他の不動産の存する圏域をいう。それは、近隣地域を含んでより広域的であり、近隣地域と相関関係にある類似地域等の存する範囲を規定するものである。
一般に、近隣地域と同一需給圏内に存する類似地域とは、隣接すると否とにかかわらず、その地域要因の類似性に基づいて、それぞれの地域の構成分子である不動産相互の間に代替、競争等の関係が成立し、その結果、両地域は相互に影響を及ぼすものである。
また、近隣地域の外かつ同一需給圏内の類似地域の外に存する不動産であっても、同一需給圏内に存し対象不動産とその用途、規模、品等等の類似性に基づいて、これら相互の間に代替、競争等の関係が成立する場合がある。
同一需給圏は、不動産の種類、性格及び規模に応じた需要者の選好性によってその地域的範囲を異にするものであるから、その種類、性格及び規模に応じて需要者の選好性を的確に把握した上で適切に判定する必要がある。
同一需給圏の判定に当たって特に留意すべき基本的な事項は、次のとおりである。
1) 宅地
ア 住宅地

 

同一需給圏は、一般に都心への通勤可能な地域の範囲に一致する傾向がある。ただし、地縁的選好性により地域的範囲が狭められる傾向がある。
なお、地域の名声、品位等による選好性の強さが同一需給圏の地域的範囲に特に影響を与える場合があることに留意すべきである。

 

イ 商業地

 

同一需給圏は、高度商業地については、一般に広域的な商業背後地を基礎に成り立つ商業収益に関して代替性の及ぶ地域の範囲に一致する傾向があり、したがって、その範囲は高度商業地の性格に応じて広域的に形成される傾向がある。
また、普通商業地については、一般に狭い商業背後地を基礎に成り立つ商業収益に関して代替性の及ぶ地域の範囲に一致する傾向がある。ただし、地縁的選好性により地域的範囲が狭められる傾向がある。

 

ウ 工業地

 

同一需給圏は、港湾、高速交通網等の利便性を指向する産業基盤指向型工業地等の大工場地については、一般に原材料,製品等の大規模な移動を可能にする高度の輸送機関に関して代替性を有する地域の範囲に一致する傾向があり、したがって、その地域的範囲は、全国的な規模となる傾向がある。
また、製品の消費地への距離、消費規模等の市場接近性を指向する消費地指向型工業地等の中小工場地については、一般に製品の生産及び販売に関する費用の経済性に関して代替性を有する地域の範囲に一致する傾向がある。

 

エ 移行地

 

同一需給圏は、一般に当該土地が移行すると見込まれる土地の種別の同一需給圏と一致する傾向がある。ただし、熟成度の低い場合には、移行前の土地の種別の同一需給圏と同一のものとなる傾向がある。

 

 

2) 農地

 

同一需給圏は、一般に当該農地を中心とする通常の農業生産活動の可能な地域の範囲内に立地する農業経営主体を中心とするそれぞれの農業生産活動の可能な地域の範囲に一致する傾向がある。

 

3) 林地

 

同一需給圏は、一般に当該林地を中心とする通常の林業生産活動の可能な地域の範囲内に立地する林業経営主体を中心とするそれぞれの林業生産活動の可能な地域の範囲に一致する傾向がある。

 

4) 見込地

 

同一需給圏は、一般に当該土地が転換すると見込まれる土地の種別の同一需給圏と一致する傾向がある。ただし、熟成度の低い場合には、転換前の土地の種別の同一需給圏と同一のものとなる傾向がある。

 

5) 建物及びその敷地

 

同一需給圏は、一般に当該敷地の用途に応じた同一需給圏と一致する傾向があるが、当該建物及びその敷地一体としての用途、規模、品等等によっては代替関係にある不動産の存する範囲が異なるために当該敷地の用途に応じた同一需給圏の範囲と一致しない場合がある。

 

 

 

2. 対象不動産に係る市場の特性
地域分析における対象不動産に係る市場の特性の把握に当たっては、同一需給圏における市場参加者がどのような属性を有しており、どのような観点から不動産の利用形態を選択し、価格形成要因についての判断を行っているかを的確に把握することが重要である。あわせて同一需給圏における市場の需給動向を的確に把握する必要がある。
また、把握した市場の特性については、近隣地域における標準的使用の判定に反映させるとともに鑑定評価の手法の適用、試算価格又は試算賃料の調整等における各種の判断においても反映すべきである。

 

第2節 個別分析|賃料と相続の不動産鑑定士

T 個別分析の意義

 

不動産の価格は、その不動産の最有効使用を前提として把握される価格を標準として形成されるものであるから、不動産の鑑定評価に当たっては、対象不動産の最有効使用を判定する必要がある。個別分析とは、対象不動産の個別的要因が対象不動産の利用形態と価格形成についてどのような影響力を持っているかを分析してその最有効使用を判定することをいう。

 

U 個別分析の適用
1. 個別的要因の分析上の留意点
個別的要因は、対象不動産の市場価値を個別的に形成しているものであるため、個別的要因の分析においては、対象不動産に係る典型的な需要者がどのような個別的要因に着目して行動し、対象不動産と代替、競争等の関係にある不動産と比べた優劣及び競争力の程度をどのように評価しているかを的確に把握することが重要である。
また、個別的要因の分析結果は、鑑定評価の手法の適用、試算価格又は試算賃料の調整等における各種の判断においても反映すべきである。

 

2. 最有効使用の判定上の留意点
不動産の最有効使用の判定に当たっては、次の事項に留意すべきである。
(1)良識と通常の使用能力を持つ人が採用するであろうと考えられる使用方法であること。
(2)使用収益が将来相当の期間にわたって持続し得る使用方法であること。
(3)効用を十分に発揮し得る時点が予測し得ない将来でないこと。
(4)個々の不動産の最有効使用は、一般に近隣地域の地域の特性の制約下にあるので、個別分析に当たっては、特に近隣地域に存する不動産の標準的使用との相互関係を明らかにし判定することが必要であるが、対象不動産の位置、規模、環境等によっては、標準的使用の用途と異なる用途の可能性が考えられるので、こうした場合には、それぞれの用途に対応した個別的要因の分析を行った上で最有効使用を判定すること。
(5)価格形成要因は常に変動の過程にあることを踏まえ、特に価格形成に影響を与える地域要因の変動が客観的に予測される場合には、当該変動に伴い対象不動産の使用方法が変化する可能性があることを勘案して最有効使用を判定すること。
特に、建物及びその敷地の最有効使用の判定に当たっては、次の事項に留意すべきである。
(6)現実の建物の用途等が更地としての最有効使用に一致していない場合には、更地としての最有効使用を実現するために要する費用等を勘案する必要があるため、建物及びその敷地と更地の最有効使用の内容が必ずしも一致するものではないこと。
(7)現実の建物の用途等を継続する場合の経済価値と建物の取壊しや用途変更等を行う場合のそれらに要する費用等を適切に勘案した経済価値を十分比較考量すること。

 

第7章 鑑定評価の方式 | 賃料と相続の不動産鑑定士

不動産の鑑定評価の方式には、原価方式、比較方式及び収益方式の三方式がある。
原価方式は不動産の再調達(建築、造成等による新規の調達をいう。)に要する原価に着目して、比較方式は不動産の取引事例又は賃貸借等の事例に着目して、収益方式は不動産から生み出される収益に着目して、それぞれ不動産の価格又は賃料を求めようとするものである。
不動産の鑑定評価の方式は、価格を求める手法と賃料を求める手法に分類される。それぞれの鑑定評価の手法の適用により求められた価格又は賃料を試算価格又は試算賃料という。

 

第1節 価格を求める鑑定評価の手法| 賃料と相続の不動産鑑定士

不動産の価格を求める鑑定評価の基本的な手法は、原価法、取引事例比較法及び収益還元法に大別され、このほか三手法の考え方を活用した開発法等の手法がある。

 

T 試算価格を求める場合の一般的留意事項
1.一般的要因と鑑定評価の各手法の適用との関連
価格形成要因のうち一般的要因は、不動産の価格形成全般に影響を与えるものであり、鑑定評価手法の適用における各手順において常に考慮されるべきものであり、価格判定の妥当性を検討するために活用しなければならない。

 

2.事例の収集及び選択
鑑定評価の各手法の適用に当たって必要とされる事例には、原価法の適用に当たって必要な建設事例、取引事例比較法の適用に当たって必要な取引事例及び収益還元法の適用に当たって必要な収益事例(以下「取引事例等」という。)がある。これらの取引事例等は、鑑定評価の各手法に即応し、適切にして合理的な計画に基づき、豊富に秩序正しく収集し、選択すべきであり、投機的取引であると認められる事例等適正さを欠くものであってはならない。
取引事例等は、次の要件の全部を備えるもののうちから選択するものとする。
(1)次の不動産に係るものであること 1) 近隣地域又は同一需給圏内の類似地域若しくは必要やむを得ない場合には近隣地域の周辺の地域(以下「同一需給圏内の類似地域等」という。)に存する不動産
2) 対象不動産の最有効使用が標準的使用と異なる場合等における同一需給圏内に存し対象不動産と代替、競争等の関係が成立していると認められる不動産(以下「同一需給圏内の代替競争不動産」という。)。

 

 

(2)取引事例等に係る取引等の事情が正常なものと認められるものであること又は正常なものに補正することができるものであること。
(3)時点修正をすることが可能なものであること。
(4)地域要因の比較及び個別的要因の比較が可能なものであること。

 

3.事情補正
取引事例等に係る取引等が特殊な事情を含み、これが当該取引事例等に係る価格等に影響を及ぼしているときは適正に補正しなければならない。
(1)現実に成立した取引事例等には、不動産市場の特性、取引等における当事者双方の能力の多様性と特別の動機により売り急ぎ、買い進み等の特殊な事情が存在する場合もあるので、取引事例等がどのような条件の下で成立したものであるかを資料の分析に当たり十分に調査しなければならない。
(2)特殊な事情とは、正常価格を求める場合には、正常価格の前提となる現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる諸条件を欠くに至らしめる事情のことである。

 

4.時点修正
取引事例等に係る取引等の時点が価格時点と異なることにより、その間に価格水準に変動があると認められる場合には、当該取引事例等の価格等を価格時点の価格等に修正しなければならない。

 

5.地域要因の比較及び個別的要因の比較
取引事例等の価格等は、その不動産の存する用途的地域に係る地域要因及び当該不動産の個別的要因を反映しているものであるから、取引事例等に係る不動産が同一需給圏内の類似地域等に存するもの又は同一需給圏内の代替競争不動産である場合においては、近隣地域と当該事例に係る不動産の存する地域との地域要因の比較及び対象不動産と当該事例に係る不動産との個別的要因の比較を、取引事例等に係る不動産が近隣地域に存するものである場合においては、対象不動産と当該事例に係る不動産の個別的要因の比較をそれぞれ行う必要がある。


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